第百二十章  変わり果てた地球


【次元】三次元

【空】オルカ

【人】ノロ イリ ホーリー サーチ ミリン フォルダー 住職 リンメイ 四貫目

   R v26  広大 最長

 

* * *

 

「いつ見ても美しい星だわ」

 

「その感想に一票! 」

 

 オルカの艦橋に忽然と現れた最長にイリが苦言を吐く。

 

「消えたと思ったら現れる。ビックリさせないで! 」

 

 広大も最長の横に現れる。

 

「すでに歓迎式典の準備が整ったようです」

 

「まさか」

 

 フォルダーが驚くと浮遊透過スクリーンにR v 2 6 の上半身が映る。

 

「ようこそ地球へ! 」

 

「生きていたのか。ということは未だP C 9 8 2 1 のマザーボードを使用しているのか? 」

 

 フォルダーに続けてホーリーが突っ込む。

 

[162]

 

 

「確か性手術を受けたはずだ。生きていると言うことは受けなかったのか! 」

 

「受けました」

 

「それじゃ結婚したのか? 」

 

「しました」

 

「? ! 」

 

 旧態の身体のままでなければ生きているはずがないからフォルダーやホーリーたちが驚くのも無理はなかった。狼狽えながらもホーリーが何とか言葉を絞り出す。

 

「お、おめでとう。」

 

「何が、めでたいのですか」

 

 すかさずノロが尋ねる。

 

「子供は? 」

 

「不妊治療を受けましたが、ダメでした」

 

「そうか。やっぱりP C 9 8 2 1 のチップが原因か」

 

 ーチが参加する。

 

「R v 2 6 と同じ旧式のM Y 2 8 とM A 6 0 には子供が生まれたわ! 」

 

「それは男としてM Y 2 8 が、そして女としてM A 6 0 が製造されたからです。詳しいことはノロに聞いてください」

 

[163]

 

 

「でもアンドロイドには寿命が設定されたはずよ。なぜあなたは生きているの」

 

「逆に尋ねますが、サーチはなぜ生きているのですか? 」

 

 咄嗟に言葉が出せないサーチに代わり再びノロが応じる。

 

「よく分かった。今の地球の環境は? 」

 

「一言で言うと恐竜時代に似ています」

 

「恐竜時代! 」

 

 ノロが口を大きく開くとヨダレを出す。

 

「歓迎式典での料理は恐竜のステーキだな」

 

「待ってください」

 

「待つけど余り焼きすぎないようにな」

 

「そうではありません。環境が恐竜時代に似ていることは確かですが、恐竜はいません」

 

「それを先に言え! 」

 

 普通なら誰もが大声を上げて笑い出すのに奇妙な沈黙が続く。

 

* * *

 

 艦橋に大柄な男が現れる。R v 2 6 だ。

 

「お久しぶりです。お元気そうですね」

 

[164]

 

 

「お前こそ」

 

 ノロとがっちり握手をしてからR v 2 6 はホーリーに近づいて抱擁する。

 

「再会できるなんて夢みたいだ」

 

「夢ではありません。現実です」

 

 ホーリーから離れるとR v 2 6 は次々と握手を求められる。すぐ和やかな雰囲気に包まれる。最後に住職とリンメイとの握手を終えるとR v 2 6 が今後の予定を披露する。

 

「まず今の地球の姿をお目にかけましょう。そのあと盛大な歓迎式典にご招待します」

 

「任せる」

 

 ノロがR v 2 6 を見上げると、R v 2 6 は天井を見上げる。

 

「中央コンピュータ。ワタシの指示どおりこの宇宙海賊船を操船してくれ」

 

「なんなりとおっしゃってください。あなたの操船の癖は心得ています」

 

 するとノロそっくりの端末が現れる。

 

「もちろん私はノロではありません」

 

「中央コンピュータの端末か。と言うことは… … 」

 

「そうです。オルカの中央コンピュータはブラックシャークの中央コンピュータです」

 

「それならいいコンビが組めるが、最新鋭の宇宙海賊船になぜ旧式の中央コンピュータを積んでいるんだ? 」

 

[165]

 

 

「失礼なことを! ワタシは絶えず進化している」

 

 R v 2 6 が振り返ってノロに尋ねる。

 

「バージョンアップしたのですか? 」

 

「違う。パートタイマーだ」

 

 中央コンピュータが激しく抗議する。

 

「えー! 正社員になったと思ってたのに。なんだかんだといっても無事に六次元の世界から地球まで移動させたじゃないですか。最新型の中央コンピュータにオルカを任せてもスムーズに操船することは不可能です」

 

「分かった。分かった。そう怒るな。さて地球観光だ」

 

「観光にはほど遠いですが、よろしいでしょうか? 」

 

「それなりの覚悟はしている」

 

 ノロの表情が引き締まる。

 

「ご要望の場所は? 」

 

「ニューヨーク」

 

* * *

 

「なんだ! 」

 

[166]

 

 

 ホーリーが叫ぶ。高層ビルの下の方が茶色でその上はすべて緑一色のツートンカラーだ。

 

「地球が温暖化したことはご存じですね。海面が上昇しました」

 

 ツートンカラーの自由の女神を見つめるサーチにR v 2 6 が続ける。

 

「その影響で海藻が猛烈に増殖しました」

 

 立体浮遊透過スクリーンに今までのニューヨークの映像が流れる。

 

「海藻はそれまでと違ってツタのように海面下のビルの壁にこびりつきました」

 

 ノロが映像を見ながらポツンと言う。

 

「問題はここからか」

 

 R v 2 6 が映像を止める。

 

「少し横道に逸れていいでしょうか? 」

 

 ノロとホーリーに頭を下げるとR v 2 6 が説明を続ける。

 

「不思議なことに人間がいなくなると温暖化が徐々に解消しました。人間は地球に異常なまでのストレスを与えていたのです」

 

 たまらずサーチが発言する。

 

「母なる地球に育てられたのに人間はその地球を痛めつけた」

 

「説明を続けてよろしいでしょうか」

 

 話の腰を折ったサーチが頭を下げる。

 

[167]

 

 

「人類が滅びてほんの十数年で温暖化が解消しました」

 

 誰もが得心する。

 

「今度は海面が下降に転じました。当然海面下でビルの壁にこびりついていた海藻は枯れます」

 

 次の説明は誰もが予想したとおりだ。

 

「海藻は死滅しましたが、その海藻の栄養分を吸収した地上の植物がビルの壁を覆ったのです」

 

 ノロがR v 2 6 に不満そうな視線を向ける。

 

「スミス博物館は? 」

 

「他のビルと同じです」

 

* * *

 

 次に向かったのは五次元の生命体との激戦地だった函館だ。

 

「なんだ! 」

 

 まずホーリーが驚く。オルカの立体浮遊透過スクリーンに歪んだ五稜郭が映っている。歪んでいると言うよりは揺れ動いて見える。ノロも一瞬驚く。

 

「次元か時間が安定していないように見えるが? 」

 

「二次元エコーで次元落ちした五次元の生命体が化石のように硬化したのが原因です」

 

 中央コンピュータの説明にノロが異議を挟む。

 

[168]

 

 

「硬化した? それなら、なぜ揺れ動いているように見えるんだ? 」

 

「錯覚です。硬化した場所の重力が不安定です。だからその周辺が安定せずにまるで揺れ動いているように…… 」

 

「おかしい! 」

 

 ノロは中央コンピュータの説明を遮って手を打つ。

 

「現場を見たい」

 

 ホーリーもサーチも、そしてここで戦った最大の功労者の四貫目も賛同する。ノロが艦橋の出入り口に向かうとイリが全速力でノロの後を追って立ちはだかる。

 

「オレが造った二次元エコーの攻撃で五次元の生命体がどうなったのか、この目で確かめたい」

 

「ねえ、ノロ。忘れたの? 」

 

「何を? 」

 

「私たち、一心同体よ」

 

「一緒に行こう」

 

「その前に二次元エコーと硬化の関係を説明して」

 

「それは中央コンピュータに聞いてくれ」

 

「いいえ。二次元エコーの発明者に説明義務があるわ。重ねて言うけれど単独行動は禁止! 」

 

「じゃあ、説明する」

 

[169]

 

 

「だったら戻りなさい」

 

 ノロは渋々イリとともに戻る。

 

「二次元エコーという武器は高次元の生命体や物質を最終的に二次元化する」

 

 実際に戦ったホーリーが追加する。

 

「そのとおり! 五次元の生命体は二次元エコーの攻撃で紙切れになった」

 

 天井に向かって命令しようとするノロを四貫目が見つめる。

 

「中央コンピュータ。五稜郭上空の空気を採集しろ」

 

 オルカが高度を下げる。

 

「何をするの? 」

 

 イリが尋ねる。

 

「なぜ五稜郭が揺れ動いて見えるのか。その証拠を手に入れる」

 

「じゃあ現場に行く必要がないわ」

 

「そういうことになるな」

 

「始めからそうすればいいのに」

 

 イリがノロの頬を突くと天井のスピーカーから中央コンピュータの声がする。

 

「採取しました。分析結果は… … なんと」

 

「早く報告しろ! 」

 

[170]

 

 

「分子レベルまで破砕された二次元のカケラが漂ってます。大きさは大小様々です」

 

 映像が立体浮遊透過スクリーンに現れる。

 

「拡大しろ」

 

 キラキラ輝く短冊がスクリーンを埋め尽くすとリンメイやミリンがうっとりとする。

 

「まるで七夕の笹が風に揺られているみたい」

 

 住職が深く頷く。

 

「この光景にドンピシャの表現じゃ」

 

 中央コンピュータが気を利かしてスクリーンの右半分に七夕の笹を表示させる。

 

「七夕。それは中国の物語をヒントに日本独自の文化に昇華させた催事です。以前日本では毎年七月七日に行われました。この夜、天の川の両側にある牽牛( けんぎゅう) という星と織女( しょくじょ) という星が一年に一度だけデートするという日なのです。もちろん昼間ではなく夜です。夜と言うと誤解されますので夕方になりました」

 

「七月七日の七と夕方のデート。略して七夕。ロマンティックね」

 

 ミリンが感心する。

 

「そのとき竹の笹に願いを込めた様々な色の短冊を結びつけるのです。その笹が風に揺られると短冊も揺れます。ほら… … 」

 

 スクリーン上で笹が幻想的な世界を演出する。

 

[171]

 

 

「きれい」

 

 ミリンたち女が感激するとイリが困惑するノロに尋ねる。

 

「どうしたの」

 

「次の説明が非常にやりにくい雰囲気になってしまった。現実は… … 」

 

「しばらくこのままにしておいて」

 

* * *

 

「二次元エコーを使うと次元落ちして三次元以上の物質は最終的には二次元化、つまり紙切れのようになる。でもすべて同じ大きさというわけではない」

 

 イリが反応する。

 

「散りのように小さいモノ、花びらぐらいのモノ、大きな紙のようなモノまで様々な大きさの二次元の物質に変化すると言うことね」

 

「なかにはトイレットペーパーのように長いモノもできる。用を足してティッシュを持ち合わせていなくても助かる場合もある」

 

「品がないたとえ話ね」

 

「いずれにしても二次元の物質が生成される」

 

「それで? 」

 

[172]

 

 

 性急なフォルダーがノロを促す。

 

「二次元の物質が漂ってるから五稜郭が揺れているように見えるのは分かるが、いずれ降下して地表に到達するはずなのに、なぜ浮いたままなのかと言うことを聞きたいんだろ? 」

 

 ホーリーが手を叩く。

 

「確かに! 俺たちがこの付近で二次元エコー攻撃をしてから、かなりの時間が経つのになぜ落下せず空中に漂ってるのか不思議だ」

 

「いいかな。二次元の物質は単なるホコリではない」

 

「でも二次元の物質… … 」

 

 イリの疑問を無視してノロが続ける。

 

「二次元以下の物質は物質ではないんだ。『物質』と言ったが単なるモノだ。つまり質量がない。『物質』から『質』を消すと『物』しか残らない。物質でなければ引力の影響を受けない。だから落下することなく二次元化した時の場所に留まる。その場所が空中なら漂ったままの状態になる」

 

 誰もが首をひねると言葉を遮られたイリが反論する。

 

「それじゃ大きな二次元物質、いえ二次元のモノはなぜ空中に漂っていないの」

 

「そうだ。地面にへばりついているぞ」

 

 ホーリーも同調するがノロが平然と応じる。

 

[173]

 

 

「当たり前だ」

 

「当たり前! ? 二次元化した時の場所に留まると言ったじゃないか」

 

「これぐらいのことで驚いてはいけない」

 

 ホーリーが冷静に質問する。

 

「大きな二次元物質… … じゃない、二次元のモノは落下するのに、なぜ小さな二次元のモノは空中に漂うのだ? 」

 

「答えは簡単。要は大きな二次元のモノには三次元の世界のチリが付着する。三次元のチリは二次元のチリと違って質量がある。付着すると大きな二次元のモノも引力で落下する。小さな二次元のモノには三次元のチリが付着しにくい。だから落下せずに漂うんだ」

 

「あっそうか。言われてみれば当たり前のことだ」

 

「もう人間はいないが、問題は浮いた二次元のチリを動物が吸い込むとどうなるかだ」

 

 ノロの意外な言葉に誰一人応ずることができない。

 

「二次元化して死滅する」

 

「どういうこと! 」

 

 イリが叫ぶ。

 

「詳しく説明するが、頭が痛くなるぞ」

 

 覚悟を決めてノロの説明を聞く態勢ができあがる。

 

[174]

 

 

「二次元の世界には時間が存在しない。そして二次元のモノには質量がない。しかし、ゼロ次元、一次元、二次元のモノは三次元以上の世界の重要な構成要素だ。これらの次元が存在するから三次元以上の世界が存在できる。しかも時間という物差しまで手にした」

 

 今のところ脱落する者はいない。

 

「ところで異なる次元の物質あるいはモノは、原則として同じ空間に同居できない」

 

 辛うじてフォルダーが口を開く。

 

「例外は? 」

 

「本来例外はないのだ。例外を造ったのは… … 」

 

 ホーリーが割り込む。

 

「二次元エコーか! 」

 

 視線がホーリーに移るとノロが大きく頷く。

 

「多次元エコーより二次元エコーの方がこの宇宙に与える影響は大きいのかもしれない」

 

「そうかなあ。多次元エコーはあらゆる次元に影響するから使用を差し控えなければならない。それに対して二次元エコーはあらゆる次元に影響を与えないのでは」

 

「そのとおりだ。影響力という点では比較にならないほど二次元エコーは優れた兵器だ」

 

「しかし、二次元化したチリを吸い込むとなぜ死滅するんだ? 」

 

 ホーリーが食い下がる。

 

[175]

 

 

「普通のチリじゃない。二次元のチリだ」

 

 ついにホーリーもさじを投げる。

 

「復習しよう。二次元のモノは質量がないし、そのモノが属する二次元の世界には時間が存在しない。しかし、この宇宙を構成する重要なパーツだ」

 

 全員の反応は肯定的だ。

 

「そんなモノが体内に入って蓄積されたらどうなる? 」

 

 なんとか想像しようとするが諦めてノロに視線を集中させる。

 

「体内に細かい二次元のモノが蓄積されるとやがて次元落ちして二次元化される」

 

「大昔のアスベスト事件を思い出すわ」

 

 立体浮遊透過スクリーンに海底でくつろぐヒラメが映し出される。愛嬌を振り回しながら起用に泳ぐヒラメが急に動かなくなる。よく見ると元々平たい身体のヒラメがさらに薄くなって絵のように見える。

 

「次元落ちしたんだ」

 

 その次にプリプリの鰤( ぶり) が勢いよく泳いでいる映像に替わる。その鰤の泳ぎがひらひらした状態になってしばらくすると動かなくなる。

 

「! 」

 

 言葉を出して反応する者はいない。次にネズミを追いかける猫の映像に替わる。猫がネズミに食い付こうとしたとき平面化してしまう。

 

[176]

 

 

それを見たネズミはその猫を煎餅と勘違いして食べ始める。

 

「もういいわ! 」

 

 イリが叫ぶ。

 

「これが二次元エコーのマイナス面だ。ちょうど人間がまき散らした極小のプラスティックを魚が食べてやがて食物連鎖で次々と他の生物が死滅するのと同じだ」

 

 ホーリーが残念そうに発言する。

 

「多次元エコーに比べて安全な兵器だと思っていたが… … 」

 

「ビートルタンクを一組、つまり四台しか造らなかったのはこの二次元エコーのマイナス面を考慮したからなんだ」

 

 ミリンが記憶をたどりながら発言する。

 

「ビートルタンクは何台もあると思っていたわ。なぜブラックシャークに積み込んで六次元の世界に向かわなかったのか、不思議に思ってたけれど、よく分かったわ」

 

 フォルダーがミリンに頷く。

 

「本当はそんな兵器がノロの惑星にあるとは知らなかった。知っていても六次元の世界で役に立つかどうかは…… 」

 

 ホーリーが強く首を横に振る。

 

[177]

 

 

「でもノロの惑星に残してくれたお陰で五次元の生命体との戦いに勝利できた」

 

 いつも明るいノロがうつむくとポツリと漏らす。

 

「地雷という兵器を知っているか? 」

 

 首を横に振る者はいない。

 

「戦争が終われば平和な世界になるはずなのに埋められた地雷が平和への道を破壊する」

 

「それと同じ事が二次元エコーで次元落ちした戦場に起こるのね」

 

 イリの言葉にノロだけでなく誰もが落胆する。

 

* * *

 

 五稜郭をあとにするとオルカはある上空へ移動する。

 

「ここは? 」

 

 首を傾げながら立体浮遊透過スクリーンを見つめるホーリーにR v 2 6 が答える。

 

「アフリカです」

 

 緑一杯の光景ではなく砂嵐が吹きすさぶ風景に緊張が走る。

 

「ここも二次元エコーの影響を受けて二次元のチリが舞っているの? 」

 

 代表してサーチが尋ねる。

 

「これはある動物が造った砂嵐です」

 

[178]

 

 

 天井から中央コンピュータの声がする。同時に立体浮遊透過スクリーンから怒濤のごとく地響きの音が聞こえてくる。

 

「ドド、ドドドッ。ドド、ドドドッ」

 

 震動と重低音の混じった迫力ある音が艦橋を包む。目を凝らして砂塵のなかの動きからミリンが直感力を発揮する。

 

「ゾウ? 象だわ! 」

 

 R v 2 6 がミリンに微笑む。

 

「百頭や二百頭じゃないわ」

 

 中央コンピュータが即答する。

 

「そのとおり。3 2 9 8 4 頭います」

 

「絶滅の危機に瀕したアフリカ象がこんなにいるなんて」

 

 サーチが感激するとR v 2 6 が説明する。

 

「このような集団が数十存在しています。絶滅危惧種どころか、絶滅した動物までもが復活しました」

 

 ミリンが尋ねる。

 

「アンドロイドが復活させたの? 」

 

 R v 2 6 が首を横に振る。

 

[179]

 

 

「いいえ。人間がいなくなったからです」

 

[180]