第六章  河


* サブマリン八〇八*

「この湖の中心部の穴からわざわざ危険を冒してメキシコ湾に行く必要はないな」


「そうか。実は気が進まなかったんだ」


 艦長がほっとした表情をノロに向ける。


「しかし、巨大な湖となった各砂漠がメキシコ湾に生息する生物ばかりだとすると、大変なことになる。深海で生活するものを除いて海の生物は絶滅するかもしれない。それに湖の周辺で爆発的に増えた植物が、気候変化で弱り切った既存の植物を駆逐するかもしれない」


「とにかく地球の環境が様変わりする」


「うん。自国のエゴを貫くと大きなしっぺ返しを受けることになる。全世界が一致団結して対処しなければならない」


「国連は必死で対応しようとしている。どうする、ノロ」


「現状を最も把握しているのは俺たちだが、国連の演壇に立って報告できる状況にはない。地球を混乱に陥れた張本人だと指弾されるのが落ちだ。それに日本も苦しい立場に立たされる」


「それこそ、私達や日本のエゴじゃないか」


「混乱を助長する行動を自重することはエゴではない。なんとか鈴木一等海佐に会って善後策


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を練る必要はあるが、今はまだその時期ではない」


「鈴木一等海佐?」


「俺の古い友人だ。NHKによれば彼は日本の最高責任者になったようだ」


「そのニュースは私も聞いた。とにかく、メキシコ湾行きをやめた今、次にすべきことは?」


「砂漠の水が氾濫する前に海に戻す」


「どっ、どうやって」


「そのために実験をする」


「頼むから、よく分かるように説明してくれ」


「会議を開こう」


「狭い潜水艦に会議室はない」


「そんなことは分かっている。艦内放送を使う」


「まず幹部で話し合おう」


「潜水艦の中では上も下もない。みんな仲間だと言っていたのは誰だった?今すぐ始める」


 艦長が部下からマイクを受け取ると渋々ノロに渡す。


「ノロだ。これまでの状況についてはすでに説明したとおりだ。本艦は誰の支配も受けない。我々は地球のために最善の行動を取る。俺の正直な気持ちとしては、狭くなった日本海を以前のような海に戻したいが、関係する国は日本、韓国、それにわがままな北朝鮮と一筋縄で説得


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できない中国、ロシアの五国だ。それより関係する国は遙かに多いが、イスラエルとパレスチナを除いて結束力が比較的強い地中海周辺諸国に注目したい。まず、地中海を元に戻すための作戦を展開する」


 艦長以下、司令所にいる乗組員がそろって生唾を呑み込んでノロを瞬きもせずに見つめる。


「サハラ湖。もうサハラ砂漠ではない。そして半島の中央部が陥没してできたアラビア湖の海水を地中海に流す。今は河を作ってサハラ湖と、アラビア湖から地中海に海水を流すとしか言えないが、その方法はすでに考えてある。安心してくれ。ただ海水を流すからその途中の周辺に影響を及ぼす。それは塩分の問題だ。海水を海に戻すこと自体は問題ない。塩分がどのような影響を与えるか、この問題には期待が持てる現実的な結論を得ている。つまりトリプル・テンの脱塩機能で対処する。ただし、そのメカニズムはよく分かっていない。タクラマカン湖の周りでは塩害はなく多様な植物が隆盛を極めている。だから塩害は起こらないと確信している
が、自信はない。そうすると実験するしかない。結果を恐れずに前に進むことが俺のやり方だ。ペーパーにして今後のことをしたためる時間はないし、実行あるのみだと思うが、全員の意見を司令所で聞くから各部署から代表を決めて質問事項を提示してくれ」


 ノロがマイクを返すと艦長が頷く。


「それまで、何をする」


「アラビア湖とサハラ湖を調査する。タクラマカン湖と同じ状況かどうかの調査だ」


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 「分かった。アラビア湖上空へ移動!」

 

「おい、みんな!質問はないか?」


 ノロがくるっと周りを見渡す。一番年長の操舵士が背中で叫ぶ。


「ありません!私はノロを信頼しています」


「同じく」「同じく」という声が響く。そのとき艦首側と艦尾側の隔壁のドアが同時に開くと、各部署の責任者が一斉に入ってきて艦長とノロに向かって敬礼する。そして異口同音の声が重ってノロと艦長に届く。


「命令、了解しました」


「これは命令ではない。説明だ。命令権は艦長にある」


「もちろん、承知しています。艦長、ノロ、我々はおふたりに命を預けました」


 少し離れて状況を観察していたイリは眩しそうにノロを見つめると長老が周りを見回す。


「頼もしい人々がこの船に溢れている」

 

* 防衛省*

 サブマリン八〇八が向かったアラビア湖に近い地中海近辺の国々は予想に反してなかなか意見がまとまらず国連とユーロ政府の動向を見守る。一方、意外なことに日本と中国、それに韓国は結束して領土問題など気にすることなく太平洋への陸路を確保するための協同作業の具体的な計画に合意するとすぐさま実行する。


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「意外なほど中国は協力的ですね」


「油断できない。あとになって自分たちが開発した地域だと領有権を主張するかもしれない」


「取りあえず、仲良くやろう。現場で相互理解が進めば、将来、明るい展望が開けるかもしれない」


「それよりも、にわかに陸地になった元海底の地質が気になる。しかも塩分が残っている。重機や資材運搬車両がどこまで活躍できることか」


「それにあそこは地震の巣だ」


「武器の携行は?」


「中国も韓国も基本的には携行しないと約束しています」


「九州横断高速道路の民間の使用制限を実施しろ」


「韓国は今回の我が国の提案に深い感謝の意を表しています」


「とにかく、やれるだけのことをしよう」


「チェン大佐から連絡が入りました」


「繋げ」


「鈴木、湖になったタクラマカン砂漠に奇妙な艦船が現れたという報告を受けた。どうも潜水艦らしい。何か心当たりはないか」


「!」


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* サブマリン八〇八*

「上空二万メートルまで上昇。スエズ運河を中心に撮影しろ」


「海の深度地図なら持っているが、陸地の高度地図は自作するしかない」


「そんな設備が本艦にあるのか」


「ない。でも、取り付けた」


 ノロが胸を張って電子手帳を見つめる。


「どこを掘削すればアラビア湖とサハラ湖の水を地中海に流せるか、シミュレートする」


「掘削するって?どうやるんだ」


「簡単じゃないか」


「シミュレート完了」


「本艦のコンピュータも大したもんだ」


「まず、アラビア湖の水を地中海に放出するための河を作ろう」


「だから、どうするんだ」


「トリプル・テンをまとった本艦はこの世の中で一番固くて重い潜水艦だ。艦底で陸地を擦ればいい」


「そうか。しかし、簡単に河を掘れるもんだろうか」


「だから実験なんだ。やるぞ!」


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「おー!」


「イスラエルとレバノンの国境に沿ってアラビア湖まで掘り進むぞ」


「おー!」


 サブマリン八〇八が高度を下げるとイスラエルとレバノンの国境に艦底を着地させる。


「このまま艦体を押しつけろ」


 ノロは電子手帳と操舵士の目の前の端末をコードで接続する。


「何をするんだ」


「俺が作った堀裂コントロールソフトを本艦のコンピュータにインストールする。進路調整は操舵士の腕に頼らなければならないが、堀裂の幅や深さはこのソフトがコントロールする」


「ほんとだ。後部カメラの映像を見てください。半円の溝ができている」


「この調子だとアラビア湖まで半日もかからないかもしれない」


「すごいな、ノロ」


「まだ、河が完成したわけではない。俺は部屋に戻って今後必要と思われるソフトの開発にかかる。何か起こったらすぐ呼んでくれ」


「了解!」

 

* パレスチナとイスラエル*

「国境が筋状に陥没しています。イスラエルが作った壁の内側です」


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「壁から堀に変更したのか。状況を詳しく報告しろ」


「それが自然に陥没しているようです。イスラエル軍の姿はありません」


「偵察ヘリコプターからの映像です」


「なんだ!これは」


 何十キロメートルにも渡って堀が伸びている。その先端では地面が押し潰され、かなりのスピードで堀が出来上がる。すでにイスラエルが建築した壁が途切れている。


「どう見ても、自然現象ではない。しかし、イスラエルの仕業とは思えん」


 一方、イスラエルもこの事態に気が付いて狼狽える。


「パレスチナが溝を掘っている?」


「そうではないようです。まるでモグラが掘ったトンネルの上の土が陥没しているように見えます」


「そのモグラの正体は?」


「不明です。パレスチナ人ではないというより、人間や堀裂機械によるものではないことだけは確かです。もしかしたら本当にモグラかもしれません。それも巨大な」


「バカな」


「しかし、地中海の海水が激減しました。信じられないことばかり起こっているじゃありませんか」


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「うむ。ところでどこに向かっている?」


「元アラビア半島の中央部あたりです」


「まっすぐに向かってるのか」


「初めはほぼ直線的でしたが、右往左往しながら進んでいます」


「もうすぐ山脈に差しかかるぞ」


「もし、本当にモグラなら山脈を貫通するのか」

 

* サブマリン八〇八*

「今までの工法では無理じゃないか」


 艦長が司令所に戻ってきたノロに尋ねる。


「そこで新しいプログラムを開発した」


「さすが、ノロ」


「まず、迂回する。迂回不可能な地点に達したら体当たりして破壊する」


「えー!」


「いくらトリプル・テンが貼り付いているといっても、山に体当たりするとポンコツの本艦は持たないぞ」


「本艦は持つが、中身の人間が持たない」


「どうするんだ」


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「だからプログラムを作った」


「どんなプログラムなんだ」


「本艦を自動操縦するプログラムだ」


「自動操縦?」


「そうだ。全員、一旦本艦を降りる」


「降りる?」

* * *

「全く無傷だなあ」


 サブマリン八〇八から降りた全乗務員が見上げる。少し離れると黒光りした艦体が急に輝くと無色透明になる。


「消えた!」


「見えないだけだ」


「砂煙が上がっている」


「サブマリン八〇八は舞い上がったはずだ」


「全員、中腰で震動に備えろ」


 しばらくすると、大音響とともに山のような大きな丘がくずれる。付近は噴煙に包まれるが、空中の一角に潜水艦の影が浮かびあがる。


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「真っ黒な艦体に赤いペンキを塗っても見えないが、チリのようなものに囲まれると、その存在が確認できる。全く見えないわけじゃないこともあるんだ。このことに留意しなければ」


 そのとき、爆音がする。


「イスラエルの戦闘機だ。隠れろ!」


 しかし、戦闘機はノロたちに気付くことなく何度か旋回したあと、来た方向に向かって離れていく。フーッという安堵のため息があちこちで漏れる。しかし、遠くでさっきの戦闘機とは異なる音がする。


「何か、近づいてくる」


「ヘリコプターか?」


「まずい!」


「携行武器は?」

 

「水兵が自動小銃を携帯している」


「やっぱり、ヘリだ。五機確認」


 双眼鏡で確認した水兵が大声をあげる。


「武装ヘリか?」


「そうです」


「自動小銃では戦いにならない。やり過ごそう」


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「サブマリン八〇八が着底しました」


「まずい。高々度へ移動させるんだ」


「なぜだ!ノロ!透明という究極のステルス機能を持っている。見つかるはずがない」


 ノロが首を大きく横に振る。近づいてきたヘリの回転翼が砂嵐を作る。


「とにかく、移動させる!五機ならかなりの砂を地面から周囲に撒き散らす。透明だといっても舞い上がった砂にサブマリン八〇八の艦影が浮き上がって見える可能性が高い」


 操舵士がリモコンを操る。ヘリコプターのローターの回転音が間近に聞こえる。


「全員、あの岩陰へ」


「サブマリン八〇八がリモコンに反応しません!」


「ひょっとして砂塵が邪魔してリモコンの電波を錯乱しているのかも」


「自動小銃を携帯しているものは照準しろ。ただし、『撃て』と命令するまでは決して撃つな」


 編隊を崩しながら、まだ砂が立ち込めている付近に武装ヘリコプターが用心深く近づく。やがてすべての武装ヘリコプターの機首がある一点に向く。


「ヤツラ、気付いたぞ」


 短い翼の下に取り付けられたバルカン砲が一斉にある空間に向かって火を噴く。同時にその空間から『ドンドンドン』という機関砲の音が聞こえてくる。三機の武装ヘリコプターが墜落


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する暇もなく木っ端微塵になる。残りの二機はお互い逆方向に急旋回して難を逃れる。再び『ドンドンドン』という鈍い音が響く。二機の武装ヘリコプターは機関砲の攻撃を避けて西方向に飛び去る。


「サブマリン八〇八に戻る。急げ!」


「艦長!なぜサブマリン八〇八の機関砲が火を噴いた?」


「艦が無人になるので自動防御モードにセットして下船した」


「さすが艦長」


「それより……」

 

* イスラエル*

「細長いサツマイモのように見えるな」


「分析の結果、海軍は潜水艦だと断定しました」


「潜水艦がなぜ岩山にいるんだ」


「僭越ながらこの情報をアメリカ国防省に打診しました」


「アメリカ……我々のことを本当に思いやってくれるのだろうか。今のアメリカは……」


「首相、感傷的にならずに現状を。情報収集の点ではアメリカは捨てた国ではありません」


「アメリカ国防省から偵察衛星のデータが送られてきました。モニターに映します」


 イスラエルの首相がもやもやとしたチリ状の画像の中に細長いものを発見する。


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「アメリカ国防省も旧式の潜水艦ではないかという見解です」


「なぜ、形がはっきりとしないのだ」


「分かりません」


「司令官、次なる手立ては?」


「武装ヘリコプター二個師団と護衛の戦闘機二編隊を派遣しろ」

* サブマリン八〇八*

「アラビア湖までの到達最短時間は?」


「約三〇分です」


「急げ!」


「イスラエル軍は果たして攻撃してくるだろうか」


「イスラエル軍に見つかったかどうかの問題じゃない。偵察衛星だ」


「そうか。メキシコ湾や湖と化した砂漠や各地の気候変動の把握にアメリカやロシアやユーロの偵察衛星が全力で分析しているはずだ」


「そうだ。イスラエルはアメリカに依頼するはずだ。実験を邪魔されたくない」


「これを見てください。暗号化されていますが、アメリカ国防省からイスラエル空軍司令官宛の画像データです」


「専門家が見れば古い潜水艦だと分析するだろう」


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「この付近に一番近いアメリカの空母は?」


「インドの遙か彼方の海上です。距離は約四千キロ」


「無視できるな」


「イスラエルとの距離は約二〇〇キロ」


「もしイスラエル空軍が本艦へ向かうとすれば、その到達時間は推定三〇分以上」


「なぜだ」


「護衛戦闘機を付けるかどうかは別として、本艦の探索にはヘリコプターが最適だ。ヘリは理論上最高速度は時速四百キロが限度だ。ましてや武器を搭載した重い武装ヘリコプターなら、三百キロぐらいが関の山だ。もうこちらに向かっているとしてもやはり三〇分はかかる」


「偵察衛星など気にせずに進むぞ」


「恐らく、猛烈な土煙を上げてアラビア湖に向かう線の先端を偵察衛星のカメラが捉えているはずだ」


「いつでも連装機関砲を撃てるように準備しろ」


「アラビア湖の水位は?」


「あれからほとんど変化はありません」


「あれだけ激しく海水が湧き出ていたのに」


「どう計算したって、消えた海水と砂漠を湖化した海水の量はケタが最低ふたつ違う」


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「残りの海水は地底のどこに滞留しているのか」


「そこには鯨やマグロやエビやクラゲや色々な生物がいるはずだ。それらの生物は滞留した地底の海で生きていくことができるのだろうか」


「だから、この実験を急がなければ」


「トリプル・テンが摩耗するということはないか」


「硬度一〇を遙かに超える物質だ。大丈夫」


「アラビア湖の水を地中海に流す実験を続けるぞ」

* * *

「高度二万メートルまで上昇」


「すごい勢いで河が流れている」


「湖の水位に注意してくれ」


「戦闘機と武装ヘリコプターが近づいてきます」


「一足、遅かったな」


 艦長がノロを感心して見つめる。


「ノロの予言どおりだな」


「予言とは邪悪な人間が言うウソだ。俺は現状のデータを分析して計算しただけだ」


「大した計算だ」


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「大したことはない。少しばかり暗算ができるだけだ」


「湖の中央部を見てください!」


「盛り上がっている!新たな海水が供給されているんだ」


「急流となって河幅が広がっています」


「両岸を浸食しているんだ。ドンドン流量が増えるぞ」


「よし!今度はサハラ湖だ!リビアに向かえ!」
「ノロ!」


「どうした?艦長」


「ノロが艦長を務めてくれ」


「何を言い出すんだ」


「ノロが艦長にふさわしい」
「咄嗟に自動防御態勢を取るなど俺にはできん。艦長は潜水艦乗りのプロだ。しかも空飛ぶ、飛行潜水艦の艦長など俺にできるわけない。それにそんなこと言ったら士気に関わる」


「すまなかった」


「艦長は艦長だ。ノロはノロだ。ふたりにこの船の乗組員が命を預けておる」


 急に割り込んできた長老の言葉に誰もが頷く。なかには大きく叫ぶ者がいる。


「全員、必死になって突き進むんだ!」


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「間もなくリビアの昔の海岸線上空に到着します」


「リビアはクーデターで軍隊がほぼ壊滅的な状態です」


「ということはサハラ湖と旧地中海を繋ぐ河の建設は簡単だ。すぐ実行だ」


 威勢よい艦長の命令にノロが微笑む。

* * *

「少し調子に乗りすぎたかな」


 イスラエルの武装ヘリコプターがリビアの主権を無視して、砂煙を上げてサハラ湖に向かうサブマリン八〇八を追跡する。イスラエル軍だけではない。偵察衛星のデータを手に入れたリビアの対岸のフランスやイタリアやスペインなどユーロ空軍の武装ヘリコプターも合流してサブマリン八〇八に接近する。


「作戦続行。もし攻撃を受けても無視しろ。巻き上がった砂塵で本艦の大体の位置は分かるだろうが、武装ヘリの攻撃はしれているし、本艦はトリプル・テンに守られている」


 ノロが頼もしく艦長を見つめて頷く。


「ただし、反撃はする」


「武装ヘリは連装二〇ミリ機関砲で対処できますが、護衛の戦闘機には無力です」


「本艦には対空ミサイルは装備されていないしな」


「場合によっては体当たりする」


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「体当たり?」


「深度四千メートルの水圧に耐える本艦だ。しかもトリプル・テンに覆われている。戦闘機など紙飛行機のようなもんだ」


「なるほど。でも気が乗らない。彼らは本艦に恨みを持って攻撃しようというのではない」


「いざというときだ。とにかく武装ヘリの機動性の方が問題だ。武装ヘリコプターへの攻撃を優先する」


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